オーナーのテスト描画レビュー  / 色材と画材紙との親和性 描画性について


上達のためのワンポイント

イーゼルを用いるクセをつけることは、上達の最初のポイントです。

理想は三脚の垂直対面タイプですが、作品特性や事情により、テーブルや机上の作業もあります。この時に、机上専用のプレートイーゼル『モチツ モタレツ」をおすすめしています。

座高にあわせて描画角度を調整できるため、前かがみ姿勢によるストレスを緩和し、焦点の誤差や明度差などを修正する後戻り作業を軽減します。

驚くほどの軽量さと簡易性で設計され、携帯性に配慮した製品です。

詳細は「卓上イーゼル」ページをご参照のうえ、お役立て戴けますと幸いです。


のテスト描画は、当店在庫の用紙を使い、来店ユーザーに対する販売の一助として描いたもので、色材と「画材紙」との親和性についてご紹介するものです。結論としてではなく、一評価としてご理解戴き、少しでも資することができれば幸いです。テスト作品の性格は説明しやすいデッサン画で、印象的または絵画的ではないことをお断りします。 (画像をクリックすると拡大されます。 環境によっては拡大されない場合があります)

■画像および説明文の無断転載などお断り致します。尚、フレームサイトはCopyright©2017 frame206. ALL RIGHTS RESERVED.です。


紙/ミューズタッチ2 F4スケッチブック鉛筆/HB

 

原料はパルプ。紙質は緊縮したケント紙ほどではないけれどもやや堅い。そのため鉛筆の反発がほどよく、弾力とやわらかさのある画用紙 ほど塗り込みされず、濃淡の幅(明度差)を描き出しやすい。(同じ筆圧の場合、M画であればやや濃く、ケント紙であれば淡く着色される)

紙/ KMKケント♯200 4切判  鉛筆/HB

 

原料はパルプ。紙質は緊縮した堅さを持つため、鉛筆の反発がある。重ねぬりによる明度調整を図りやすい。


紙/ KMKケント♯200 4切判  鉛筆/HB

 料はパルプ。紙質は緊縮した堅さを持つため、鉛筆の反発がありミューズタッチ2紙ほど着色されない。重ね塗りを行うこ とで、より詳細な明度差を描き出せる。ひとつの花を大きくデッサンし、形のあり方を学習することで、水彩やパステルでの彩色時に役立つ方法としておすすめしています。

弾力のある一般的な画用紙は、上記ケント紙やタッチ2より柔らかいため、紙にめり込むように着色される。また、ゴムで消したあとに再び着色すると、このめりこんだ鉛筆線跡に鉛筆粉が入りにくく、線が白く浮いて見える。画用紙でのきれいな諧調表現には筆圧に注意が要るのはこのため。



紙/ファブリアーノ・トラディショナルホワイト300g 細目(中目)380×500 コットン100%

絵具/国産透明水彩絵具 2色  評価項目:水はじき

鉛筆デッサン時に彩色方向をイメージしておく。手を抜いてデッサンしたら彩色する時に行き詰まってしまうので注意した。 ウオッシュ技法をさらに分解して、花びらごとにあらかじめ水を含ませておき、半乾きの状態まで待ってから彩色した。

紙の上をパ レットに見立てて、花びらのふくらみや丸み、遠近度の彩色を試みた。明度調整は絵具の溶き水の量で行い、淡い箇所は塗り残しや筆によるならしで調整を行った。水はじき(紙表面に水を漂わせる度合い)がほどよく調整が容易の紙。


鉛筆デッサン 

紙/ KMKケント♯250 2切判 545×725 鉛筆/HB 2B 4B

 水彩で着色することを前提にデッサン。水彩の着色ではどこをどのように彩色するか、といった計画が大切。そのため、デッサンしながら計画をイメージした。バイオリンは名品「オールドパノルモ」・・お借りした音楽家オーナーに感謝。


水彩紙 /ファブリアーノ・エキストラホワイト300g 細目 560×760 コットン100% 絵具/国産透明水彩絵具 コーヒー(経時変化で固形化したもの)

評価項目:調整力(脱色性)

 初心ユーザーは一発塗りが難しいため、修正または調整しやすい紙選びは大切な要素。この紙は脱色による調整可能時間がアル シュ紙よりゆとりがあり、明度差などを彩色する上で丁寧に行えた。この調整時間はありがたいのではないか。


紙 / ファブリアーノ・クラシコ5中目 コットン50%

水彩紙に逆光を課題にして木炭デッサン。コットンを含有した原料の紙だけあって目つぶれの不安はなかった。定着もよいが、色(粉)落ちしやすいので注意した。ゴムや処理も良い。

紙 / MBM木炭紙 130g

描画途中のものだが、この紙の木炭の発色はやはり良い。たてよこ斜めといった木炭線がきれいにのる。ゴムを引いても目つぶれしない。

 

高校時代、この紙一枚購入するのに隣の宮崎県まで行っていたことが懐かしい。その時の小生には貴重な紙で、目つぶれした上にさらにのせて描いていた。


紙 / ミューズ グレーワトソン190g 545×780㎜ コットン配合色材/ 木炭 透明水彩 パステル

課題 / 透明と不透明の表現性

 ワトソンの水彩適性をいかして背景に透明水彩を着色。その後木炭デッサン、続いてハードパステル、ソフトパステルの順に彩色。透明は遠方に不透明は手前に説明される。地色のグレー色が人物肌とよく響き合う。目つぶれしにくく、重ね塗りもほどよい紙質。

紙 / ファブリアーノ・エキストラホワイト300g 細目 560×760コットン100% 絵具/透明水彩3色(赤 青 黄) 評価項目:調整力(脱色と加色性)

 クセのない描きやすい紙のひとつ。顔を複数回の脱色と加色を繰り返した。淡白になりがちな一回塗りにくらべ、深いニュアンスが得られた。絵具の定着速度がやや遅いため、脱色と加色調整がうまく行えた。ついでに衣服のシワにボカシをテストしたが、きれいに表現できたのではないか。


紙 /ランプライト300g 545×780コットン100% 国産透明水彩 輸入水彩絵具(伊)

評価項目:紙と絵具の定着

 スカーフは輸入絵具、他は国産絵具で彩色。調整力(脱色性)にすぐれる紙に対する絵具の定着度を試した。スカーフは予め濃い色をのせ、乾いてから水で溶いた淡い同色をのせた。色の泣き出しがなく、きれいに描き出せた。国産絵具は 自由に色を動かせた。髪は脱色状態のまま。脱色時にゴシゴシやると、紙肌が荒れるので、要注意。

紙 /アルシュ300g 細目560×760コットン100%

絵具/透明水彩 3色(赤 青 黄) 評価項目:調整力(脱色性)

 ファ ブリアーノと同じ速度で調整したが、絵具の定着速度が早く、途中で製作をやめた。彩色後の脱色をもう少し早めるべきだった。全体的に淡白。しかし、この定着速度はさすがにこの紙らしい特長で、手早い重ね塗りも可能にする。色を一回で決められるプロが好む理由のひとつだと思われる。発色も良く、それなりの私でも、何かうまく描けたように錯覚させるほどの実力紙。


紙/ ランプライト300g F6判

絵具/国産透明水彩

評価項目:加色と脱色による描画性 紙と絵具の定着性

ランプライト紙の調整力、言い換えれば脱色性を深堀りしてテストした。

油彩風の着色を実施して、空以外はほとんど複数回塗り替えたが、その面影はわずかに下地色として残るだけ。構図も大胆なまでに調整し、それまであったはずの樹木を消したり追加したり、小路の向きも変えられた。林の木や土手に繁茂する草は、手前・奥とも最後に脱色にて 描き出せた。このテスト作業に要した時間は約1ヶ月。定着の早い紙では不可能な描法が体験できた。


紙/ ランプライト300g 540×770

絵具/国産透明水彩

評価項目:加色と脱色による描画性

ラ ンプライト紙の調整力を再テストした。色数を用いず色の泣き出しやボカシ、紙面上の混色性を試みた。調整がしや すいという安心感があるため、思い切った着色にも不安はない。小さな樹々に隠れた幹も塗るだけぬった後で、丁寧に白抜きができた。

紙/MBM木炭紙 130g  500×600

色材/パステル(ハード ソフト)

評価項目:重色テスト 目つぶれ

パステルによる重ね塗りをテスト。構図は描く上での注意箇所も把握できていたので水彩と同じ。定着度は良好で目つぶれの心配はない。最初にハード、次にソフトで仕上げた。

 

2017年、第8回全日本パステルアート展の受賞作。

ありがとうございました。