■一般家庭における劣化対策と当店の取り組み 保存額装だけでは不完全です。


一般家庭における額縁に収納された絵画作品や保存箱保管による劣化対策

1.室温対策 2.湿度対策 3.カビ対策 4.ムシ対策 5.額装の構成材料対策 6.ガス対策 7.紫外線対策などがあります。

美術館とは展示環境も空調環境も異なる一般家庭において、劣化対策の現実的な優先順位は1〜6のどれでしょうか。

紙の寿命には湿度が必要ですが、その湿度帯はカビ発生を許す環境でもあります。また、カビは抑えることは可能ですが皆無にはなりません。

したがって、カビの発生をおさえつつ、いかに紙の健康を維持して寿命をのばしてあげられるか、当店はここに注力しています。

 

当店の提供するサービス

当店が提供するサービスとして額装では「5額装の構成材料対策」、保管対策では「1室温対策」の容器提供を心がけています。紙自体の生理運動で引き起こされる劣化現象が酸性紙化です。酸化した紙は黄変し枯れ葉のごとくボロボロになっていきます。これにはいくつかの原因があります。急激な湿度変化が紙繊維の急激な伸縮運動を起こし、しだいに酸化させていきます。急激な湿度変化もたらすものは、室温の急激な上下降で起こる相対湿度の変化です。 

酸性紙化の参考事例:約70年前の新聞(朝日)(上皇さま皇太子時代のルーブル美術館訪問の記事があります)

劣化進行中の70年前の新聞紙


 

カビ対策と紙の酸性紙化を抑えるためにユーザーに心がけて戴きたいこと 室温・吸湿素材の設置・植物・石油ストーブ

特に、小さな子供さんやご年配のご家族がおられる家庭では室温に快適さが求められますが、「寒からず、暑からず」程度の設定が望まれます。また、空気の流れをつくってあげることも非常に大切です。カビ対策と紙の伸縮劣化に有効です。

 

また保管や額縁の展示場所に、吸湿性のあるものを置いてあげて下さい。昔は、障子やふすま、畳といった吸湿素材があり、これらが相対湿度が高まった折の受け皿になってくれ、乾いてきたら放湿してくれました。保管資料や額縁内部の作品が吸湿する量を大きく減らす効果が期待できます。カビ対策と紙の伸縮劣化に有効です。湿度計も参考になりますので気になる場所に設置されることをお勧めします。

 

植物を室内に飾ってあげることは、とても素晴らしい生活空間にちがいありません。その一方で、室内の湿度が高まっていることにもご注意戴きたいのです。植物が吸い上げる水がやがて放湿され、相対湿度が高まります。結露によるカビ対策と紙の伸縮劣化対策のため、ご配慮戴きたい点です。

 

冬場の石油ストーブやガスストーブは、水蒸気を発します。これらの近くに保管箱や額縁が展示されると吸湿してしまいます。また家具なども壁にぴったりついた状態は、カビ胞子のたまり場となり、付着していきますので多少の隙間を設けて空気の流れをつくってあげましょう。

 

このほか「チャタテムシ」に代表される紙につきやすい小さなちいさな虫がいます。古い書籍が書棚にある部屋は、湿度と空気環流にご留意ください。この虫が保管資料や額縁内部に入り込むおそれがあります。

 

もう一度、当店の提供するサービス

・湿度侵入を拒む構成材料で額装・接触劣化しない構成材料を使用・断熱効果をもつ裏板を使用・カビの移行を阻止する構成材料を使用。 外気温の変化に良い意味で鈍感な容器製作。これは、容器内の湿度がゆっくり変化して、紙の伸縮速度を抑えてくれ、酸性紙化を防ぎます。

美術館向けの保存調湿額装であっても、バラツキのある空調環境下の一般家庭に於いて、カビや紙繊維の伸縮劣化からは完全に護れません。どうかユーザーの皆様ご自身による劣化対策として、室温や湿度の管理に努めて戴けることを願っています。

 

 


容器 紙の保存と劣化・・紙資料のストレスを軽減しましょう

当店では保管に適した容器などもご提案しております。

1、温度変化を緩やかにしてあげること

2、接触している包材、板などからの二次劣化要因を排除

3、調湿材の適宜な利用

4、空気還流を保つ

■紙資料の劣化メカニズム

従来環境下において繰り返される急激な温度変化は、紙作品が持つ湿度の吸放湿を促進させ、理不尽な伸縮ストレスをともない、酸性紙化へと劣化させていきます。(汚染ガス 虫害などには別途対策)

■対策 紙資料の保存保管では、温度変化を緩やかにすることで、吸放湿による急激な伸縮速度を抑えてあげることが大切です。

遮熱保存ケース(実案査定技術) オーダーメイド品

遮熱素材:リフレクティックスほか

■用途環境:一般家庭における温湿度変化が大きな場所

■目的:遮熱保存ケースは簡易設計ながら、外気温度の変化に対し、きわめてゆっくり追従して変化することで、被るストレスを緩和し劣化速度を抑制します。

 ■用途:紙作品ほか熱変化にデリケートな製品

■リフレクティックスは非蒸着タイプの高遮熱材で、蒸着シートでは決して得られない遮熱機能が特徴です。

遮熱常温保存箱 (特許庁出願査定品)オーダーメイド品

室内気温の急激な変化に対する追従速度がきわめて遅く、ゆっくりと変化しますので、収納品を熱ストレスによる酸性紙化から護ります。

 

こんな所にお勧め致します。

夏や冬、帰宅後の室温が外気温と著しく異なる部屋。

保管されている資料は、繰り返される急激な温度変化の環境状態で酸性紙化を強いられています。

構成材には調湿紙やガス吸着機能紙なども付与致します。

 

遮熱工法にもとづく保存箱で、当店にて企画/設計/製作を行なっております。(監修:一級建築士設計事務所 久永住環境設計)


作品保存箱(アーカイバル保存箱)

湿度調整紙(SHCペーパー)付きの保存箱

ご注意

この保存箱は、室内の温度変化に敏感に追従して内部温度も変化します。保管場所の室温は寒からず、暑からずといった、温度変化の少ないことが望ましいです。

 

素材:中性紙 アーカイバルボード(空気層を持つ素材)

サイズ:3サイズ(mm)

S:幅366×奥行467×高さ50 M:幅515×奥行617×高さ50 L:幅667×奥行820×高さ50

仕様 :組み立て式  メーカー:株式会社ミューズ

※当店ではオリジナル保存箱のご用命も承っています。

(軸装作品やレコード、CDなどのほか特種サイズ対応可)


■木製パネル作品の保存方法

まず、パネル張り前の準備において、裏板からのアク止めによる劣化対策が必要です。(画像参照:アクが本紙に移行) 

当店のパネル張り加工におけるプロ作家向けのものは、すべてアク止め仕様にて実施させていただいています。

アク止め素材は、米国のPAT(Photographic Activity Test)試験に合格した品質で、長期に渡り劣化因子をバリアして、作品の保存性を高めます。

その後の保管方法について概略説明。

 パネル側面に幅板を設置して、ラップします。

紙の劣化と額装について

紙の劣化については、さまざまなサイトでも紹介されていますので、そちらもご確認下さい。但し、「温冷熱」という温度環境の変化における劣化対策は、当店の遮熱ページにてご紹介しています。

ここでは額装や描画における現実的な課題にどのように対処しているのか、といった当店の取り組みについてご案内します。内容については、今後追加していきますので、次下がすべてというわけではありません。尚、対策品の販売も承りますのでメールにてお知らせ下さい。


フォクシング(カビ)の発生と予防



フォクシング(カビ)参考例①

ボタニカル水彩画 紙:アルシュ

ボタニカル カビ(フォクシング)例
ボタニカル カビ(フォクシング)例

フォクシング(カビ)参考例②

版画  紙:ベランアルシュ

ベランアルシュ カビ(フォクシング)例
ベランアルシュ カビ(フォクシング)例

フォクシング(カビ)参考例③

版画  紙:ベランアルシュ


参考例①は持ち込み例で、何故こうなるのかというご質問でした。アルシュ紙の目止め(サイジング処理)には動物膠が用いられています。この目止め材の膠(ゼラチン)にカビが寄りつきやすいということも考えられます。乾燥した大陸地域では湿度不安が少なく、フォクシング発生頻度も少ないと思われます。日本では北海道あたりがこの傾向にあると思われますが、国内の多くは湿度が割と高く、フォクシング発症率も自ずと高まります。

参考例②③は、あるデパートにて購入したシルク作品とのことでした。『しばらく自宅にて展示していたが、マットボードに少しシミが出て気になるので、交換してほしい』とのご依頼でした。裏板をはずして確認したのが②③の画像です。マットボードはもちろん、作品にまで及んでいたフォクシング。


きちんと目止めされ、密封された額縁は、実際は要注意です。

以下、文章だらけのご案内です。

ご興味のある方は「数年前に知っておきたかった」と悔やんでおいでの方ではないかと思います。

ご興味のない方は、数年後のために、ほんの少しでもご一読いただくことをお勧めします。せっかくの大切なお品を護るためのご説明です。


課題:保管環境への対策

参考例①では、保管環境が大きな影響力を持つと考えています。保管には、スポット的に湿度を抑制できる保存箱を用いるなどの対策や、室内環境として植栽からの放湿、石油ストーブ、加湿器などのそばに置かない。また夜間に結露する室内を避けるなどの配慮も必要です。

課題:難しいユーザー自身によるメンテナンス

参考例②③用の額縁裏板は固定金具で打ち込まれ、テープの目張止め。ユーザーには容易に手を出せない完璧さとして受け止められているのではないかと、少し危惧しています。実のところ、保存仕様の額装か否かは、裏板を開けるまで分かりません。私の個人的なコレクションは全て裏板を外し、作品と接触している素材まで調べ上げます。目張りテープの効果は一長一短あり一概に結論づけはできません。虫害には効果的ですが、メンテナンスを難しくさせます。よほど理想的な構成材料を用いないと②③の通りとなります。当店では、ここに注力しており、どちらかというと、外見より内部構成品に重きをおいたコスト感覚で仕事をさせて戴いています。作品の劣化予防も機能として求められる額縁ですが、悲劇的な劣化要因を呼び寄せる場合もあるという矛盾を、お伝えしています。


まとめ:スケッチブックの状態や額装後にカビの発症が見られた。額縁の裏板アクが移行して黄変し、フォクシングが多数発生

予想される原因:保管場所の湿度高 空気停滞(非還流) ストーブ燃焼 室内の植栽からの放湿  室内と外気温度の差(※) 吸湿素材との接触

 当店の取り組み:遮熱保存箱 アーカイバル保存箱 裏板素材の選択 作品に安全な接触素材を提案 防カビ液や中和液の粉霧 殺菌液塗布  ブックマット装填  スーパーバリアシート仕様 など


保管場所の湿度高 室内と外気温度の差(※)への対策

当店では、高遮熱シートを用いた「遮熱常温箱」および区体や特定の部屋に対しての遮熱施工の工事を行っています。保存保管に最適な環境温度と湿度をご提供しています。外気温との差は結露を生じさせ、その湿度は取り付きやすい紙に吸収されやすく、結果的にカビの温床になります。また紙は、繰り返される吸放湿で伸縮劣化による酸性紙化に向かいます。

 湿度の高い居室やアトリエ、夏冬における室内温度の対策に遮熱環境のお手伝いを致します。


裏板素材について・・・特殊スチレンボードと中性アーカイバルボード (裏板の交換を承ります。お問い合わせ下さい。)

当店では額縁の裏板素材として2種類を扱っています。一つは全く新しい特殊スチレンボードで、アルミ箔で両面から中間カバーされており、温冷熱を遮熱して 断熱効果を持ちます。窓のある壁面では外気温と室内温度の差で結露(湿度)が生じます。従来の木製裏板の場合、より乾いた額縁内部の本紙作品にまで湿度侵 入が及び、カビ発症の因となっています。さらには、木部が加水分解され酸化物質のアクが作品に及ぶことも散見されています。こうした作品劣化のリスクを回 避できる素材です。

 もう一つは、中性アーカイバルボード(中性の硬質ダンボール)です。結露の心配のない一般的な空間におすすめしています。素材の空気層が断熱効果を有していますが、急激な温度変化に追従しやすい傾向があります。


防カビ効果

製紙工場における抄造段階で添加される防カビ剤の効果は、概ね1年ぐらいと説明されています。しかしユーザーの中には、『中性紙だから変色しない、劣化しない、カビも発生しない』といった思い込みをされている方もあります。紙は呼吸しながら伸縮するデリケートな生きた素材だと認識しています。対策では「空気中の何を吸わせながら伸縮させた」か、を逆説的に考慮しています。


フレーム

〒299-3251 千葉県大網白里市大網 73-17

(大網白里市役所から徒歩1分)

Tel & Fax: (0475) 73-4549

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営業曜日 / 下記2020.4.1より変更

水〜土 am10:00~pm6:00

休業日:日 月 火 祝

事前電話にて休業日も対応致します。