複製版画の額装例
色鮮やかなロッカクアヤコ氏の版画、額装にあたり経年変化による劣化を抑える素材と額装構成で企画しました。
既成品の額縁を用いた額装例です。
額装目的:重色インキ作品における接触劣化を回避する保存仕様。
額装ポイント:①作品支持体と接触する箇所をPAT試験合格素材でカバー ②結露が発生しても印刷インキと接触させない空間6㎜を確保 ③作品支持体を紙素材マットボードに接触させない
お客様にお渡しした仕様書内の概図の一部
当店では、特異な額装における加工および積算根拠をお知らせできるよう仕様書をお渡ししています。
ブックマット型式の額装ですが、これを縦軸に見立てて、構成素材順が分かりやすいように図解しています。
空間設置でアクリル板との接触回避
作品とアクリルとの空間を6㎜確保し、仮に結露が生じても印刷面がアクリルに接触しないことを企図しました。
同時に装飾性を持たせるベベルマットは、素性が明確なコットン配合の中性紙を用いました。この裏面が作品と直に接触しますが、ここにPAT試験合格素材を設置して作品の接触劣化抑止に配慮しました。
今回は既成品の額縁に収めましたので、マット幅マージンに限りがありました。
作品止めコーナー オリジナル作成
作品支持体の厚さにともない重量もあり、これを支えズレも防止する専用コーナーをスーパーバリアシートで作成しました。直角精度が必要なため、イラストレーターで作図したデーターを工房内のレーザー出力機でカット。
スーパーバリアシートは厚みのある素材で、裂けに強く、こうした部材にも安心です。
紙製やポリエステル製のコーナーもありますが、自重のある作品には後々が心配です。
フレームではいろいろな設備機器を用いて、従来技術以外の手法も積極的に採用しています。
限りもありますが、可能な範囲で額装などを手がけています。新たなご依頼がどういうものか、悩むのも楽しい仕事です。